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相殺

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相殺とは?

お互いの債権債務を帳消しにする行為をいいます。

相殺の図

たとえば、AがBから借金をして1000万円を借りたとします。
この場合、
A:1000万円の貸金債務
B:1000万円の貸金債権
を持ちます。
一方、AはBに自己所有の土地を1000万円で売却したとします。
この場合、
A:1000万円の代金債権
B:1000万円の代金債務
を持ちます。

この場合、AはBに1000万円を返し、逆にBはAに1000万円を払うわけですが、現実にお金のやりとりをするのは面倒なので、ここで1000万円の債権債務を帳消しにすることが相殺です。

自働債権と受働債権

自働債権とは、「相殺させてください!」と相殺を主張する側が有する債権をいいます。
逆に、
受働債権とは、相殺を主張される側の債権をいいます。

例えば、AがBに対して、1000万円の債権債務を消滅させてください!と主張する場合、
Aの有する代金債権=自働債権
Bの有する貸金債権=受働債権
となります。

相殺できる要件(相殺適状)

以下の要件がすべてそろった場合に相殺を主張することができます。

  1. 債権が対立している事
    この点は、深く考えず、上の例のように、AはBに対して債権を持っていて、BはAに対して債権を持っているということです。
  2. 双方の債務が同種の目的を持つ事
    上の例では、貸金債権と代金債権となっており、どちらも「金銭債権」です。なので、同種と言えます。
    同種でない例は、AがBにA所有の土地を売却した際、AはBに対して「代金債権」を持ち、BはAに対して「土地の引渡し債権」を持ちます。この2つは同種とは言えませんよね!?どうやって相殺するの?ってなりますね!
  3. 自働債権は弁済期が到来していること
    相殺しようとする側の債権が自働債権です。例えば、上の例で、Aの貸金債務の返済期日(弁済期)が10月1日、AB間の売買契約で、Bの代金の支払い期日(弁済期)が7月1日だったとします。この場合、8月1日時点で、相殺を主張することができるのはAのみです。なぜなら、Aの持つ代金債権は弁済期(お金をもらう期日)が過ぎているので、返済しなければいけない10月1日までの2ヶ月の猶予期間を放棄して相殺することができます。Bにとっては何の不利益もありませんよね!=受働債権(Bの債権)の弁済期は未到来でもよい
    一方、8月1日にBからは相殺を主張できません。なぜなら、Bが持つ貸金債権の弁済期は10月1日です。つまり、Aはあと2ヶ月間返済するまでの猶予期間(期限の利益)があります。それをBの相殺主張によって、勝手に奪われるのはAにとって不利益が生じるわけです。
  4. 債務が相殺を許すものであること
    ここでは、相殺を許さないものをお伝えします。何かをしてもらう債権を持つ場合、例えば、AはBに講演会の依頼をしました。この場合、Bは講演会に出席して話をする債務を負います。一方、BはAに対して、別の講演会を依頼した場合、Aは講演会に出席して話をする債務を負います。この2つの債務は現実に履行を必要と債務なので、相殺することができません。

時効消滅した債権でも相殺できる

自働債権が消滅時効にかかった後でも、それ以前に相殺適状となっていれば、相殺することができます。

例えば、上記事例の通り、AがBから借金をして1000万円を借金をし、逆にAはBに自己所有の土地を1000万円で売却したとします。
この場合、
A:1000万円の代金債権
B:1000万円の貸金債権
という同種の債権を有します。

そして、それぞれ弁済期が到来して、そのまま相殺せずに放っておいて、Aの代金だけ時効によって消滅したとします。この場合でも、Aは時効消滅した代金債権を使って相殺を主張することができます。
その理由は、相殺適状(相殺ができる状態)になった時点お互い、相殺された(債権債務は帳消しになった)を考え、わざわざ相殺の意思表示をしないことが多いため、「時効消滅前に相殺適状になっていたのであれば、債権が時効消滅した後であっても相殺できる」というルールにしているわけです。

不法行為の加害者側からは相殺を主張できない

法律上は「債務が不法行為によって生じたときは、その債務者は、相殺をもって債権者に対抗することができない。」としていますが、分かりやすくいえば、加害者からは相殺することができない、ということです。

例えば、闇金業者AがBに100万円を貸し、Bが返済期日になってもいっこうに返さないから、AはBを殴って、100万円の治療費がかかったとします。
この場合、
闇金業者A
・100万円の貸金債権
・100万円の治療費債務(不法行為による債務)


・100万円の貸金債務
・100万円の治療費請求権(不法行為による債権)
を持つことになります。

ここで、「加害者Aから相殺できる」というルールにすると、闇金業者Aはお金の回収が不可能になった場合、殴ってしまうことで相殺できるので、社会の秩序が乱れてしまいます。そのため、加害者Aからは相殺できないというルールにしているわけです。
つまり、「債務が不法行為によって生じたときは、その債務者(闇金業者A)は、相殺をもって債権者(被害者B)に対抗することができない。=AはBに相殺を主張できない」ということです。

さらに言い換えると、
不法行為による債権(Bの有する債権)を受働債権として相殺はできない
となります。

差し押さえ後の債権を受働債権とする相殺の禁止

支払の差止めを受けた第三債務者は、その後に取得した債権による相殺をもって差押債権者に対抗することができません。

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例えば、
①BがAに対して貸金債権を有しており、②Bは別の債権者Cからお金を借りていたとします。③その後、BがCにお金を弁済したいため、CがBの「Aに対する債権」を差し押さえ、④その後、AがBに貸金債権を取得した場合、Aは相殺を主張することができません。

もっと分かりやすい考え方は個別指導プログラムで解説します!

相殺の仕方と相殺するとどうなるか?

 

  1. 相殺は、当事者の一方から相手方に対する意思表示によってする。この場合、その意思表示には、条件又は期限を付することができません!
    どういうことかというと、相殺適状であれば、相手方の承諾なく、一方的に相殺を主張できるということです。また、相殺をする際に、この土地が売れたら相殺します!(条件)とか1ヶ月後に相殺します!(期限)とかいう風に相殺することはできないということです。
  2.  上記の意思表示は、双方の債務が互いに相殺適状の時にさかのぼってその効力を生じます
    どういうことかというと、相殺適状になったのが、10月10日で、相殺を主張したのが12月1日だった場合、10月10日に債権債務は消滅したことになります。

履行地の異なる債務の相殺

相殺は、双方の債務の履行地が異なるときであっても、することができます。この場合において、相殺をする当事者は、相手方に対し、これによって生じた損害を賠償しなければなりません。
どういうことかというと、もともとの履行地が東京だったとします。その後、債権者の転居を理由に履行地が大阪に変わることによって、旅費として3万円余分に係るようになった場合、債権者がこの3万円分の損害を賠償しないといけないということです。