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債務不履行のポイント

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債務不履行とは

約束したことを果たさないことを債務不履行と言う。もっと簡単にいえば、契約違反のこと。
そして、債務不履行には「履行遅滞」「履行不能」「不完全履行」の3種類がある。

履行遅滞 債務者の責任(故意もしくは過失)で約束の期日までに約束を果たさないこと(履行しないこと)
履行不能 債務者の責任で約束を果たすことが出来なくなった
不完全履行 債務者の責任で中途半端にしか約束したことを守れなかった

不完全履行は宅建試験にほとんど出題されないので省略

 

債務不履行の成立要件

債務不履行の要件
①債務者に帰責事由があること
帰責事由とは、故意(わざと)もしくは過失(不注意)のこと
債務者から頼まれた者(履行補助者)に故意・過失があっても債務者の責任になります。
②履行しないことが違法であること
約束を守らないことが違法であること
例えば、同時履行の抗弁権が主張でき、相手方が履行しない場合は違法ではないので、約束を守らなくても債務不履行とはならない

 

履行遅滞

履行遅滞とは、約束の期日を守らなかったことを意味する。
言い換えると、履行期に履行が遅れたということ。

ただ、履行期は債権の種類によって異なるので注意!

債権の種類 履行期
履行遅滞の起算点
具体例
確定期限付きの債権 期限が到来したとき 5月5日に代金を支払うという約束であれば、5月5日までにお金を払わないと履行遅滞になる
不確定期限付きの債権 債務者が期限の到来を知った時 Aが死んだら土地を贈与するという約束であれば、Aが死んだことを債務者が知った時から履行遅滞になる
期限の定めのない債権 債権者から請求を受けた時 この土地を贈与する約束を期限を付けずに約束した場合、貰う側(債権者)は引渡しを請求した時点で、あげる側は履行遅滞になる
停止条件付き債権 条件成就後に債権者が請求した時 Aが試験に合格したら土地を贈与すると約束した場合、Aが合格した後、貰う側(債権者)は引渡しを請求した時点で、あげる側は履行遅滞になる
返還期限を定めない貸金債権 催告後、相当期間が経過した時 AがBに期限を決めずにお金を貸した場合、Aが相当期間を定めて催告し、その期間内が過ぎた時点でBは履行遅滞になる
不法行為に基づく損害賠償請求権 不法行為が行われた時 Aが車でBをはねてケガを負わせたら、その時点からAは履行遅滞となる


 

履行不能

債務者に帰責事由があって債務を履行することができない場合、履行不能となる。

債務者に帰責事由がなければ危険負担となる。例えば、A売主、B買主で建物の売買契約をしたとし、引渡しを1ヶ月としたとする。契約締結後、1週間後に地震(不可抗力)により、建物が倒壊した場合、債務者Aに帰責事由がなく、建物を引渡せなくなたので、履行不能ではなく、「危険負担」となる。

危険負担となると、原則、債権者が責任を負わないといけないので、Bは建物を引渡してもらえなくても、代金をAに支払わないといけません。

もし、売買契約前に建物がなければ、契約自体無効となる。

契約前に目的物が滅失 契約後に目的物が滅失
契約無効 売主に帰責事由がある場合 履行不能(売主が責任を負う)
売主に帰責事由がない場合 危険負担(買主が責任を負う)

 

債務不履行になるとどうなる?

債務不履行が発生すると、債権者は「損害賠償の請求」と「契約解除」ができる。
両方請求することも可能

ただし、損害賠償請求をする場合は、損害を受けた側(債権者)は損害額がいくらかを証明する必要がある。

これは非常に面倒なので、事前に争いになったら、「いくらにしよう!」と決めておくこともできる。
これを「損害賠償額の予定」という。

 

損害賠償額の予定

「損害賠償額の予定」は契約と同時に決めておく必要がなく、後で決めてもよい。
そして、金銭で定める必要もない。

例えば金銭で定める場合、「違約金は100万円」と決めておく。
違約金は特段の定めがない場合、損害賠償額の予定とみなされ、万一、債務不履行が生じたら、債務者は100万円を支払わないといけなくなる。
このとき、「損害があったこと」も「損害額」も証明する必要はない。
ただ、債務不履行の事実さえ証明できれば100万円を請求できる。

債務不履行が原因で裁判になって損害額が「予定した損害賠償額」と異なっていても、裁判所も予定額の増減ができない

損害賠償額の予定をしても、債権者は契約解除はできる。

損害賠償額の予定の効果
損害賠償額の予定をしておけば、債務不履行の事実さえ証明するだけで予定した賠償額を請求できる。
この時、「損害の発生」や「損害額」を証明する必要はない
裁判所も予定額を増減できない
損害賠償額の予定をしても契約解除はできる

 

金銭債務の債務不履行

金銭債務の特別な扱い
①金銭債務では、不可抗力を理由に責任を免れることができない
例:電車が止まったから代金を支払えなかったといっても履行遅滞になってしまう
履行不能はない
建物であれば、建物が無くなれば履行不能になるが、お金に関する債務は履行不能にはならない
損害を証明しなくても、法定利率(5%)の損害賠償の請求ができる。
ただし、当事者間で5%以上の利率で約束(約定利率)した場合、約定利率による請求ができる