宅建のすべて 宅地建物取引士資格試験に関する情報を公開!

不法行為・使用者責任・工作物責任・共同不法行為

宅建通信講座メルマガ

不法行為とは?

不法行為とは、故意または過失によって、他人の身体や財産などを侵害し、損害を与える行為を言います。

例えば、ある人が車を運転中に、他人地の塀に車をぶつけて破損させてしまった場合等が挙げられます。

不法行為の成立要件

不法行為は下記5つがすべてそろったときに成立します。一つでも欠けると不法行為は成立しません。

  1.  加害者に、故意又は過失がある
    被害者が、加害者の故意又は過失を立証しなければならない
  2. 権利利益を侵害している
  3. 損害が発生している(財産的損害と精神的損害)
  4. 権利や利益の侵害行為と損害の間に因果関係がある
  5. 加害者に責任能力がある
    未成年者、自己の行為を弁識するに足りる知能を備えていなかった場合はその行為について賠償の責任を負わない。
    ・また、精神上の障害により自己の行為の責任を弁識する能力を欠く状態にある間に他人に損害を加えた者は、その賠償の責任を負わない。ただし、例外として、故意または過失によって一時的にその状態を招いたときは損害賠償責任を負わなければならない

不法行為が成立しない場合(正当防衛・緊急避難)

正当防衛とは?

他人の不法行為に対して自己や第三者の権利あるいは法律上保護される利益を防衛するため、やむを得ず加害行為をしてしまうことです。この場合には正当防衛をした者は、不法行為による損害賠償責任を免れます。逆に、正当防衛をした者が損害を受けている場合、不法行為者に対して損害賠償を請求することができます。

緊急避難とは?

他人の物から生じた急迫の危難を避けるためその物を損傷してしまうことであり、この場合も、緊急避難を行って損害を発生させても不法行為による損害賠償責任を免れます。

不法行為の効果

不法行為が成立すると、不法行為をした者(加害者)は被害者に対して損害賠償責任を負います。

そして、上記損害賠償は、原則、金銭で賠償しなければなりません。例外として、名誉毀損の場合、被害者が裁判所に「お金ではなく、名誉回復するための措置を行ってください!」と請求にすることで、裁判所は、損害賠償に代え、又は損害賠償とともに名誉を回復するに適当な処分を命じることができます。

損害賠償の範囲

原則、「通常生ずべき損害」の賠償で足り、
例外的に、「当事者がその損害を予見し、または予見することができたとき」は「特別の事情によって生じた損害」まで賠償する必要があります。(判例)

損害賠償請求できる者(請求者)

損害賠償請求できるのは、原則、被害者本人。もし、被害者が死亡したのであれば、損害賠償請求権(慰謝料請求権)は当然に相続されます。
胎児については、すでに生まれたものとみなし、請求権者となります。この場合、生まれた後に、損害賠償請求権を獲得します。

不法行為における過失相殺

不法行為責任においては被害者側に過失が認められる場合であっても、裁判所は被害者側の過失を考慮せず損害額全額を請求できるようにすることも可能です。

不法行為に基づく損害賠償請求権の時効

不法行為による損害賠償の請求権は、下記期間を経過すると時効によって消滅します。

  1. 「被害者又はその法定代理人」が損害及び加害者を知った時から3年間行使しないとき
  2. 不法行為の時から20年を経過したとき

使用者責任

使用者責任とは、被用者(従業員など)が仕事を行っている時に第三者に損害を加えた場合、使用者も被用者と同様の不法行為責任を追うことを言います。

使用者責任の要件

  1. 事業のために他人を使用していること
    雇用関係の有無、有償・無償、継続的・臨時的等の区別を問わず、事実上の指揮監督関係があればよいとされています。つまり、下請負人の場合は、原則的には使用関係にないが、元請負人の実質上の指揮監督下にある場合には、使用者責任が発生する可能性がある。
  2. 被用者が事業の執行について加害行為をしたこと
    仕事中に加害行為を起こした場合だけでなく、職務外の場合でも、その行為の外形から見て、あたかも被用者の職務の範囲内の行為に属するものと認められる場合も、事業振興における加害行為と考えます。(判例)
  3. 第三者に損害を加えたこと
  4. 被用者の行為が不法行為の要件を満たしていること
  5. 使用者に免責事由がないこと
    使用者が①被用者の選任及び監督について相当の注意をしたとき、または②相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、使用者責任は生じないとしています。

使用者責任と求償

被用者が起こした不法行為に対して、使用者が責任をとった場合、もともとの悪いのは、被用者なので、使用者が被用者に対して求償できるのは当然です。

使用者が被害者に対して損害賠償した場合、使用者は被用者(実際の加害者)に対して、損害の公平な分担という見地から「信義則上相当と認められる限度」において求償できます。(判例)

工作物責任

工作物の設置に瑕疵があり、他人に損害が生じた場合について責任は誰がとるのか、というのが、工作物の責任です。

下図を見てください。
所有者が塀設置のために、請負人に対して委任し、塀を設置しました。
その後、所有者はその建物を賃借人(占有者)に貸しました。
そして、塀が崩れて、その結果、他人に被害を被ってしまいました。
この場合の責任は誰が取るのでしょうか?

宅建:工作物責任の事例

①まず、被害者は最初に占有者に損害賠請求をします。
ここで、占有者に瑕疵があるかどうかを考えます。
a ) 占有者が必要な注意をしていれば、占有者は責任を免れます。
b ) 占有者が必要な注意をしていなければ、占有者が責任を負う

② a )の場合
占有者が必要な注意をしていて責任を免れた場合は文句なく、所有者が責任を負うこととなります。
この責任は無過失責任で、たとえ所有者(大家)が注意をしていて 瑕疵がなかったとしても、責任を負わなければなりません。
重要なのは、被害者保護の観点から、 占有者が注意をしていれば、所有者は過失がなくても責任を負わなければならないということです。

③万一、塀を作った人(工事業者)に責任があった場合
被害者に支払った金額を請求できます。
つまり、一度、は占有者もしくは所有者が被害者に支払った後でないと請求できない
ということです。

共同不法行為

共同不法行為とは、数人が共同で不法行為によって他人に損害を加えた場合、もしくは、共同の行為中に、誰が実際に損害を加えたのか分からない場合、損害金額については、共同行為者全員が連帯して責任を負うことです。

ここで言う連帯債務は一般的な連帯債務より、厳しい不真正連帯債務となります。